竹内 泉

トマト一筋10余年、まだ“正解”は見えない

インターンシップが、入社のきっかけ

私は農業大学出身ですが、当初はスキーの仕事をしたいと思っていました。しかし、スキーの仕事は年間を通じてはできないので、その点について大学の先生に相談したところ、夏場にできる仕事として農業を勧められたのです。そして、大学3年の時には野菜くらぶのインターンシップを通じて農業を体験してみたのですが、これがとても楽しくて…。以来、すっかり農業にハマってしまいました(笑)。
インターンシップでは、1ヵ月半くらい事務所の2階に泊まり込み、こんにゃく工場や漬け物工場で働いたり、野菜くらぶのメンバーになっている農家さんのところへ行って栽培を手伝ったりしました。こうした仕事も面白かったのですが、何よりも事務所の2階窓から見える景色が素晴らしかった。こんなところでずっと働いてみたい、と思ったのです。
入社後に、所属は野菜くらぶからサングレイスに変わりましたが、トマトの栽培担当という役割はずっと変わりません。また、入社後数年は冬場にスキーをやっていたのですが、次第に農場の方が面白くなってしまい、今ではすっかり仕事は〝トマト一色〟です。

理想のトマトを、より多く生み出すために

トマトに魅せられた理由、それは常に自分が理想とする木の姿を追求する面白さがあるからです。ここ昭和村には、当社以外にもトマトを生産しているところがたくさんあるのですが、「良い木ができた」という話を聞くと、それを見に行きます。良い木から採れるトマトは、とても美味しい。ですから、そうした〝良い例〟をいくつも見ながら、自分で理想的な木の姿を思い描き、それに近づけようと努力するわけです。
理想的な木に仕上げることができ、そこから美味しいトマトが採れた時には、とても嬉しいです。そんな時は当然、出荷先のお客様からも良い評価をいただくことができるのです。
木は喋りませんけど、常にこちらに何かを訴えかけています。たとえば、葉振りに元気がない時は「水が欲しい」というサインですから、そうした要求をきちんと理解して、それに応えてあげることが大切です。だから、私と一緒に働くスタッフにも、「トマトは今、何を求めているのか?」に気づく力を身につけて欲しいなと思っています。トマトはLサイズが多く採れることがベストなので、常にそれを目標に努力しています。

一日の流れ

  • 6時

    出社。
    朝の収穫を行い、8時30分にパートさんとバトンタッチ。
  • 8時30分

    農場の管理作業開始。
    ハウス内の木をヒモに吊したり、芽かきや適果などをやったりする。
    この作業をすべてのハウスで実施。
  • 12時~13時

    昼食。
  • 13時

    午後の作業開始。
    引き続き、午前中と同じ作業を行う。
  • 17時

    ハウスでの作業。
    ハウスの消毒や肥料の作成などを行う。
  • 18時

    事務所での仕事。
    1日の作業のまとめと翌日以降のスケジュール確認。
  • 19時~20時

    退社。

大学時代は、住み込みで仕事をするほどスキーにのめり込んでいた竹内だったが、就職してからは次第に熱が冷めてしまったという。それは「明確な目標がなくなってしまったから」。対して、仕事では「美味しいトマトを自分の手でつくる」という目標ができたので、スキー以上の情熱を持って取り組めるようになったそうだ。